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「 短編SS 」
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実家から帰ってきました。
今晩は、睦月です。
帰ってきて部屋の汚さに呆然……。


Fate/Zero二巻の発売日をすっかり忘れていたぁーーーーー!!!
んで、慌てて第二回目の通販に申し込みました。
あぁもう、いつ来るのだろう……。あ、そんなわけでネタバレ禁止の方向でお願いします。泣くよ?

■小説
ウェブ拍手SSを更新しました。
今回は二つ追加。イラストを削除。
一つはトライガン×Fateの嘘予告で、もう一つはタイガー道場エトセ虎。
いやいやいや、フザケテナイデスヨ?
お暇なら一つ押してみてください。
ついでに感想送ってくれるとお姉ちゃん嬉しいなー。

■ウェブ拍手
>読んだぜ読んだぜ(゚∀゚)おもしろかったわwGJ!!!
おー読んでくれたか。個人的には、もうほんと書きにくかったけどな。いや楽しかったけど。
ラブコメって苦手さ。ギャグとか難しすぎー。
スキルが欲しいよスキルが。

■一日SS
というか嘘予告、ウェブ拍手の容量制限のせいで結構はしょっちゃってますので、完全バージョンを置いておきますー。
……あれ?ウェブ拍手する必要なくね?

 十字架だった。
 それは巨大な十字架だった。
 人の丈ほどもあり、布でくるまれているが――しかし、間違いなく厳礼なる神秘を醸し出す聖なる十字であった。
 その、紛れもない神の象徴が、赤い魔槍の稲妻から、衛宮士郎の身を護った。
 「ち――七体目のサーヴァントだと―――――!!」
 蒼い痩躯は豹のの如くスピードで飛び退く。
 後に残ったのは静寂。月光差し込む厳かなる蔵で――その男は在った。
 胸元が大きく開いた黒のスーツ。
 目を見張るような黒い髪は日本人のそれによく似ている。
 そして双眸は黒いサングラスに覆われていた。
 黒黒黒――黒ずくめに覆われた男は、それでも、その黒の下にある表情は笑み。
 その笑みのまま。
 
 「よう坊主。―――お前が、わいのマスターか?」

 ぶっきらぼうに、そう言い放つ。
 一つのイレギュラーな出会いが、其処にあった。


 ――――ぶつかり合う黒と蒼――――


 「……――真っ当な一騎打ちをするタイプじゃねぇな。ってことはアーチャーか。ほら、早く獲物を出せよ。|神父様《・・・》」
 神父。
 そう、確かに神父だろう。
 黒ずくめの体をしているが、巨大な十字架を背負った姿は――どこか、厳格な雰囲気を感じさせる。
 その神父はニヤリ、と笑い。
 「おんどれの目は節穴か? 獲物ならおどれの前にあるやんけ」
 すぅ、と十字架に手を伸ばし―――――
 「んな眠たいことぬかしてる間に――――蜂の巣にするで?」
 十字架を覆う、拘束具たる黒のベルトを解き放った。
 バチバチバチ!と炸裂音のような衝撃が辺りに響く。
 そして、遂に『ソレ』は解放された。
 「な――――――――」
 士郎の目が見開かれる。
 そう、それは有り得ざるモノ。
 「てめぇ……一体何処の英霊だよ。んな宝具を持つ英霊なんて――有り得るはずがねぇ」
 槍兵が驚く。
 彼が言うように、それは英霊が持つ宝具として、有り得てはならないモノだった。
 『ソレ』は巨大な銃身だった。
 十字架の形をした銃身。白と黒のコントラストの中央で、トリガーたる髑髏が笑っている。
 まるで神と悪魔が同居したかのような、人を殺すためだけに作られた――『ソレ』は最強の個人兵装だった。
 名を、『パニッシャー』という。
 神罰の意を持つソレを、アーチャーは使い慣れた玩具のように軽々しく持ち上げた。
 「さぁ――懺悔の時間や。わいの説教は、ちょっとばかし荒っぽいで?」

  
 ――――何が正しくて何が悪いのか――――


 「――――なんや小僧。それじゃあ、おどれは自ら戦いはせえへんが、関係ない人間を巻き込むような真似は許さないと。戦いを止めるため戦うと。誰も殺す気はないと。そんな馬鹿なことを抜かすんかいな」
 アーチャーは呆れた顔をして、そう言った。
 月光の下、口元から上がる煙草の紫煙が目に付く。
 「む。何だよ馬鹿なことって。誰かが傷つかずに済むならそれでいいじゃないか」
 「あのな。確かにこの時代はわいが知っている世界より、ずっと平和で幸せや。でもな、本質は変わらん。もうお前は聖杯戦争という非日常に足突っ込んでいる。そんな世界じゃ人生は絶え間なく連続した問題集や。揃って複雑。選択肢は酷薄。加えて制限時間まである。
 ――――坊主。そんなかで一番最悪なことは分かるか?」
 「……わかんねぇよ」
 士郎は静かに言った。その目は泳いでいて、まるでアーチャーの視線から逃れるようだ。
 アーチャーは、一瞬だけ目を細めて、煙を吸って吐く。
 月に上るそれを見つめながら。
 「一番最悪なことはな。夢みたいな解法待って何ひとつ選ばない事や。オロオロしてる間に全部おじゃん。そんなことじゃ、一人も救えへん。誰も救えないんや」
 悲しげに、そう言った。
 それは世界の真実。
 誰かを救おうとするなら、それに見合う代価が必要だ。
 物事に加害者と被害者が決定づけられているのなら。
 どちらかを切り捨てなければ、何かを救うことなど出来るはずもない。
 「……選ばなあかんねや。一人も殺せない奴に一人も救えるもんかい。小僧、時には鬼にもならな、誰一人として救えへんで? おどれだって子供じゃないんや。そんなことくらい分かってるんやろ?」
 ワシらは神様にはなれんのや、と一言付け足し、アーチャーは灰皿に煙草を押しつけた。
 サングラス越しの顔は無表情。
 アーチャーが言ったことは当たり前のこと。誰も論破することの出来ない、真実という完璧なる理論。
 だが。
 「……嫌だ」
 「――――なに」
 衛宮士郎は、それを真っ正面から否定した。
 士郎はアーチャーの目を見据え。
 「俺は嫌なんだよ。そういうの。定員の決まった救いなんて吐き気がする。誰かは救えないけど、誰かは救える。誰かを切って、誰かを助ける。そんな、天秤のような救いは嫌だ」
 「小僧……それ本気で言っとるんかいな。本気でそんなことで、人を救おうと。そう抜かすんか――――おどれは」
 アーチャーの顔が僅かに強張る。その表情から漏れる感情は、紛れもなく、怒り。
 人を射殺すような視線。それを真っ向から受けて。
 ――――それでも、衛宮士郎は微動だにせず、ただ視線を受け止める。
 「アーチャーの言ったことは、多分正しいと俺も思う。だけど、だからこそ。だからこそ――――許せないんだ。アーチャー、そんなものは言葉に過ぎないんだよ。目の前で奪われる命のほうが、俺には重い。それに、何より。俺は――――
 ――――正義の味方を、目指しているから」
 だから、そのために戦うと。士郎は言い切った。
 アーチャーは瞬間、目を見開かせ。
 「――――は。ははははは!!」
 大きな声で、笑った。
 「む。何だよ。言っとくけど、これはもう決定事項だからな」
 「いやいやいや、えろぅすまんなぁ。まさか、こないな所でその台詞を聞くたぁ思わなかったんでな。くくくく、そうやな。おどれならなれるかもな。――――アイツみたいな、正義の味方に」
 アーチャーは、まるで何かを懐かしむように、言った。


 ――――そして、現れるもう一つの剣――――


 「……」
 エーテルが煌めく中、それは現れた。
 ばさり、と赤いコートがひらめく。
 白い髪に褐色の肌。その男は目の前の少女に跪き。
 「サーヴァント、キャスター。ここに召喚された。魔術師たるこの身は、貴女の杖となり、貴女の力となろう。マスター、貴女の名を聞かせて欲しい」
 薄暗い虫倉の中。一つの影が、一瞬だけ、ゆらりと動いた。
 そして。
 「――――間桐桜」
 声は、一筋の余韻を残し、消えていく。
 赤い外套の男は、ニヤリと。
 楽しげに――――そして自嘲するように、嗤った。


 ――――立ちはだかるは、かつての友――――


 「アーチャー……!? 何故アナタが現界しているのです……!!」
 セイバーが驚きに目を見開かせる。
 今、目の前に決して居てはならないはずの人物が居る。
 その事実が、受け入れられないと、そう言わんばかりに。
 「セイバー、じゃあアレは前回の聖杯戦争のサーヴァントだっていうの!?」
 「はい、そうです。最後の夜。私は彼と戦って――敗北しました」
 「セイバーが……負けた?」
 ごくり、と凛が生唾を飲み込む。
 最優で最良のサーヴァントであるセイバーが負けを認めたという事実。
 それが何よりも凛には信じがたいことであった。
 そして。
 セイバーとは違う意味で、驚く男が、一人。
 「おどれが……何でこんなところにいる……」
 今まで、どんなサーヴァントにも動じなかったアーチャーが、あまりの驚きに――そして『彼』が銃口を向けているという事実に、身を凍らせていた。
 何故。何故何故何故何故――――
 思考を埋めるのは、ただそれだけ。
 それでもアーチャーに出来ることは、ただ問いを投げ穿つことのみだった。
 「――――答えろっ!! ヴァッシュ・ザ・スタンピード!!!!!!!」
 
 赤いコートに金髪のトンガリ頭。ふわりと外套が夜空に舞う。
 銃身が月光を煌めき、その男は優しげに微笑んだ。
 「やぁ、ウルフウッド。久しぶりだね。じゃあ――――死んでくれるかな?」
 だん。
 乾いた銃声は、まるで変わり果てた彼を象徴するかのようだった。


 トライガン×Fate/stay night クロスオーバーSS
 Swordedge and Gunsmoke / wilderness and bluesky


 「――――人の身で、僕に敵うと思っているのかな。衛宮士郎、だとすればそれは君の思い上がりだ。ウルフウッドに何を吹き込まれたかは知らないが、単身で僕に挑むなんて無謀すぎるよ。止めておいた方がいい」
 「止めたところで、お前は全ての人間を滅ぼすんだろう? なら、意味はないさ」
 「ああ、そうかもしれないね」
 くく、とヴァッシュは乾いた笑いを浮かべる。
 士郎は激昂しそうな体を何とか抑えて、言葉を紡ぐ。
 「確かにアンタは凄いよ。人間とは違うけれど、それでも人を愛し、守り続けた。決して殺さず、ひたすらに自分の理想を守って、そうして世界を救った。ああ、アンタは俺の理想そのものだ。親父が夢見て、キャスターが目指して、それでもなれなかった正義の味方だ。なのに――――」
 士郎は一旦、そこで言葉を切って。
 ――――左腕の聖骸布に手をかけた。
 「なのに、どうして最後までそれを貫き通せない。どうして自分を信じ抜くことが出来ない。――――どうして、自分のしてきたことを、胸を張って誇らない。例え人を殺すだけの抑止力になってしまっても――――人を救ってきたと。お前の大好きな人間を何人も救ってきたと、どうして――――」
 〝頼むで、士郎。トンガリを止めてくれ。わいはあんな空っぽなアイツの笑顔なんか、見とうないんや――――〟
 〝衛宮士郎。ヤツを止めるのは、お前の仕事だ〟
 ウルフウッドの最後の言葉。最後の最後、彼は自分のことを初めて名前で呼んだ。
 キャスターの最後の言葉。エミヤシロウの残骸は、初めて自分を正義の味方だと認めてくれた。
 背負った二つの想い。それに目を背けることなど、衛宮士郎に出来るはずがない。
 遺されたのは赤い左腕と巨大な十字架。
 ――――パニッシャーのベルトに手をかける。
 ヴァッシュが自嘲する。
 その笑顔には、何も宿っていない。灰色の感情。凍てついた精神。
 「それは彼岸にいる者の言葉だ。君には分からないだろう。幾千もの絶望……自分の愛する者を手にかける、無限連鎖の地獄のことなんて……」
 「わかるかよ、そんなもん。お前は人を救ってきたんだろう。それを何故認めない。
 そうだ。――――俺にはそれが許せない。理由なんて、それで十分だろう?」
 託された想い。託された武器。
 右手に十字架を。左手には聖骸布を。
 士郎は。
 今。
 それらを、全て――――

 ――――解放した。

 「いくぞガンマン――――弾の貯蔵は十分か」


 トライガン終了記念の嘘予告。
 戯れ言ですよ?

◇今日のBGM◇
〝疾走 (REMIX)〟 from LAST ALLIANCE 「桜爛高校ホスト部」ED
かぎーりないしっそー。
いいよねこの曲。やみつきになります。
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何だか脱力気味。
今晩は、睦月です。
何とかせな。


気分転換が必要かも。
何か色々詰まっとります。

一発ガツン、としたものが欲しい。

うーん、自分でも何言ってるんだか。

とりあえずサイトリニューアル&「パンドラ」完結かな。
次の長編のネタが、ぽんぽん浮かんできて困る。

あ、ウェブ拍手も更新せな。
トップ絵
塗り終わったよ!

■一時間SS

 煙草、というと最初に思い出すのは親父の顔だ。

 縁側に座った親父が、月を見上げながら、紫煙を吐きだすその姿が脳裏に焼きついている。
 こちらが「健康に悪いから、止めとけ」と吸うたびに言うのだが。
 「――――今更止めても、ね」
 と苦笑いで、いつもそう返すのだ。
 その顔はどこか寂しげで、結局俺は何も言い返すことが出来なかったのだ。
 〝Peace〟。そう刻印された紙煙草の煙を追う姿は、まるで平和を渇望しているかのようで――――切嗣は、その煙の果てに自分の理想を垣間見ていたのだろうか。
 その姿が、どうしてか、とても似合っていて。
 ――――そして悲しかった。

 紫煙が、ゆらゆらと目の前で揺れる。
 「こぅら、士郎。煙草吸うなら、外で吸いなさい。部屋の中じゃ空気が悪くなるわよ。というか電気くらい付けなさい」
 盆に二人分の緑茶とお茶菓子を載せて、凛が部屋に入ってくるなり、そう言った。
 「……窓開けてるから大丈夫だろ。窓際で吸ってる分なら、そう問題でも無い。うん、それに今日は何だか月見をしたい気分なんだ」
 此処から縁側まで銜え煙草というのも無作法だしな。
 そう、と一言呟いただけで、凛は特に気にした様子も無く、部屋に入ってきた。
 凛は俺が煙草吸うこと自体には、とやかく言わなかった。いつも余分なことは心の贅肉と言い張る彼女が。
 その彼女は、俺の部屋の中心に陣取ると、盆を置いて、緑茶を啜りだす。
 俺はその姿を一瞥すると、再び月を見上げた。――あの頃の、切嗣と同じように。紫煙の合間に、厳かなる月光が見える。
 「……ねぇ、士郎。貴方が煙草吸いだしたのって、お父さんのお墓参りからだったわよね」
 「ああ」
 ロンドンでの事件を経て、一区切り付いた俺は――ようやく、始めて親父の墓参りをした。
 実質、やってみれば何とも無いことだ。だけども、それは。
 ――いつも隣に居てくれる、この女性のおかげなんだろう、と思う。
 「聞いていいかな。何で、急にそんなことを?」
 凛の視線を肩越しに感じる。
 それは何だか、少し躊躇しているかのようで――いつもの彼女らしくない、だけども彼女らしい仕草だった。
 ふ、と苦笑する。今更、何を躊躇っているのか。
 ずかずかと遠慮なく人の心に踏み込んでくると思えば、ここぞというときでは躊躇する。全く、凛らしい。
 「こうすれば、少しは切嗣の見えていたものが、見えるかなって。知りたかったんだ。親父の見てきたものを、少しでも。だけど、そんなことは出来ないだろ? だからこうして親父の仕草を真似すれば、少しは見えるかなって、さ」
 自分でも、よくわからないんだけどな、と付け足して俺は笑った。
 いつか越えなければいけない壁。
 赤い背中と自分の父親。
 越えなければいけないからこそ、彼らが何を思い、何を見ていたのかを、知るべきだと、俺は思う。
 「――――そう」
 ずず、と緑茶の啜る音が聞こえる。
 会話が途切れ、静寂が訪れた。
 だけども決して気まずい空気などではなく。何故か今は、とても快いものだった。
 りりり、と聞こえる虫の鳴き声。
 部屋に差し込む月明かり。
 綺麗な夜空。
 それに――――
 ああ、きっとそれは。

 ――――こんなにも月が、綺麗だからだろう。

 ふと一つの出会いが、脳裏を過ぎる。
 〝問おう。貴女が私のマスターか〟
 ……セイバー。俺、ちゃんと正義の味方、やってられてるかな。
 煙草の煙を深呼吸の要領で吸い込み、紫煙を吐く。
 紫煙は夜空に溶けていくようで、月に昇っていくようにも見えた。
 その煙の狭間に。一瞬だけ。

 〝――――当たり前でしょう。貴方の隣に誰が居ると思ってるんですか〟

 そう言って、呆れながらも微笑む彼女の姿が――――
 「しーろう!」
 「うわ、どうした凛。近い近い近い」
 思わず煙草を落としそうになる。
 凛が、いつの間にか、寄り添うように肩にもたれ掛かっていた。
 「ねぇ、私にも一本ちょうだい」
 「おいおい。体に悪いから止めとけって」
 「む。今の士郎がそれを言うかっ。一本くらい良いでしょ?」
 まぁ確かに。灰を落としながら言う台詞じゃないな。
 そう思い、仕方なしに、くしゃくしゃになった紙パックから一本寄越す。
 「火は――――」
 「今、貴方が口にくわえてるじゃない?」
 ニカ、と笑う凛。
 ふ、と苦笑しながら俺は加えた煙草の先端で、凛の口元にある煙草に火を付けてやった。
 両者にあるのは僅か煙草二本分の距離。
 それは、まるで口付けをしているかのような――――
 「――――っつ!! げほっ! げほっ!」
 まぁしかし、そんなロマンチックな雰囲気は、咳き込む凛によって、ぶち壊されたわけだが。
 「はははははは、まぁ始めはそんなもんだ」
 「う~~~~~~。アンタよくこんなの吸っていられるわね……」
 そう言って、緑茶で口直しをしようとする凛。
 だが、その緑茶は、いつの間にか温くなっていたようだ。凛が僅かながら眉をしかめた。
 「温くなっちゃってるわね。しょうがない。淹れ直してくるか……」
 「ああ、俺も行くよ」
 「そう? じゃ、士郎がお盆持ってね」
 はいはい、と苦笑しながら、煙草を灰皿に押し付けて、立ち上がる。
 さて、感傷はここらで終わりにして。
 このお姫様に、飛びっきりのお茶でもご馳走してやるとしますか――――

 後に残ったのは、くしゃくしゃになった紙のパッケージと、一つの灰皿。
 パッケージに印刷された文字は〝LUCKY STRIKE〟。
 ――――共にある彼女に、幸運あれ。

 二本の煙草が、灰皿の中で、寄り添うように、月へと紫煙を立ち昇らせていた。

 短編『Tune of Two cigarettes / op."LUCKY STRIKE"』
 ――<了>

一時間丁度で書き終わる。
ようやっと、ペースが掴めて来たかな?
LUCKY STRIKEもPeaceも良い煙草です。

◇今日のBGM◇
"Melodic Storm -DEAR EDIT-" from ストレイテナー 「Dear Deadman」
色々と吹っ切れてきました。
今晩は、睦月です。
もう大丈夫です。多分に。


やれることをやるしかない。
所詮、そんなことくらいしか出来ないのだから。

■小説
現在迷走中。
なかなかに纏まらない。というか一つの話にぶちこみすぎなんじゃないだろーか、と思ったり。
まぁ、大体完成しているので、明後日くらいにはUPできそうです。

あーあと、某友人からマブラブSSとイラスト。
あれね。思ったより話が膨らんじゃって、ブログにUPできる文量じゃなくなった。
だから、その内TEXTの方にUPしておく。
ちなみにまだ完成してない。ギャフン。

■一時間SS&三十分イラスト
桜がもう何か色々致命的
「――――むぅ」

 リリィスフィール・フォン・アインツベルンが神妙な面持ちでフライパンを見つめた。
 〝何か、すげぇ〟
 今の顔を表現するとこんな言葉だろう。
 リリィが見つめる視線の先――フライパンの中身は。
 ――――この世のものではなかった。
 例えば、ラブコメである。
 女の子が好きな主人公のために苦手な料理を行い、結果焦げだらけの『何か』が出来上がるというのは、最早使い古された展開だ。
 だが、これはそんなものじゃなかった。
 焦げとか生焼きとか、そんなレベルじゃない。何というか、言うなれば、R指定ものである。テレビならモザイクが画面全体に覆われていることであろう。
 スプラッタとかそっち系に属する。――――何かひたすらに、グロい。
 そんな発禁有害図書さながら、フライパンの中身を見つめる桜も。
 「……アハハ」
 と、苦笑していた。
 ことの始まりは、約一時間前。
 お兄ちゃんこと衛宮士郎が、ロンドンでの用事を済ませ、帰ってきたときに一泡ふかすような料理を作ってみせる。
 そう宣言したリリィが、やったこともない料理にチャレンジしたのだった。
 全くいじらしいことであるが、出来た物がコレでは笑うに笑えない。
 「……我ながら凄いものが出来ちゃったわね。うーん、手順は完全に覚えたのに、何でこうなっちゃうのかしら?」
 まるで自問するように、リリィが呟く。その様は実に冷静だ。流石は魔術師といったところか。
 ――――だが厳密に言えばリリィは魔術師ではない。
 元々聖杯として生まれたリリィは、思っただけで魔術が発動する。つまり、過程というやり方を知らなくても、彼女は息をするように魔術が使えるのである。
 ……ここで魔術師と料理の関係について話しておこう。
 結論から言うと、ある程度の実力を擁した魔術師は、料理もある程度の料理を作ることが出来る。何故なら、魔術と料理は割と切っても切り離せない関係を持っているからだ。
 例えば薬品の調合一つとってもそうだ。微妙な火の加減や、ミリ単位での絶妙な匙加減の混合などが、魔術師には求められる。
 それは十分に料理にも通じること。実際料理本に偽装した魔術書もあるくらいだ。料理のスキルは魔術師にとって必要不可欠のものだった。――――衛宮士郎がソレを知ってか知らずか、自分から進んで料理を覚えたのは、何だか面白いものがある。しかし、それは余談であるが。
 つまり、最初っから結果が出せるリリィにとって、料理の腕が致命的なのも、むしろ当然であると言えるのかもしれない、ということである。
 火は最初から全開。調味料は過剰ともいえる量をぶちこみ。お約束の砂糖と塩を間違え。挙句の果てに醤油とウスターソースを間違えていた。勿論皮なんて剥くはずもない。何を思ったのか、生の野菜を調理完了寸前に入れ、おまけとばかりに、ごぼうとアスパラガスを間違えた。
 そうして、嫌な臭いがキッチンを充満していることに気付いて、慌てて桜が様子を見に来たのが、約三分前。
 つまりさっきである。
 「ハァ……。料理なんて簡単なものだろう、って思ってたけど。これは意外と厄介ね」
 そうしてゴトリ、とフライパンを置き、片付けようとするリリィ。
 そんな彼女を見て。
 「――――――――」
 桜は、いつかの光景を幻視していた。
 (初めて私が料理を作ったとき、先輩はどうしてくれたっけ――――)
 浮かび上がるのは、不恰好なお握りをほお張る、士郎の顔。
 (――――よし)
 暖簾を潜り、キッチンへと桜は踏み込む。
 「……あ、サクラ。御免なさい、キッチン汚しちゃった。今片付けるから――ってサクラ!?」
 桜は一瞬躊躇したが、それでもフライパンの中身に手を伸ばし――――
 ――――口に入れた。
 「サ、サクラ! そんなもの食べたら、お腹壊しちゃうよ!?」
 うむぐ!と一瞬にして顔が強張るが――それでも桜は何とかしてソレを飲み込んだ。
 そうして、リリィのほうへ向き。
 「――――ね、リリィちゃん。自分の作った料理を誰かに食べて貰えるって、緊張するけど、嬉しいことでしょ?」
 そう言って、些か青白い顔をして、桜は笑った。
 「あ――――」
 自分の作ったものを誰かに食べて貰える。――それは相手に認めてもらっているということ。自分は決して独りではないということの証明。
 冬の城を思い出す。そこには独りぼっちでご飯を食べていた――――寂しげな自分の姿があった。
 今、その自分が、料理を作って、親しい誰かに、食べてもらっている。食べて貰える人が、目の前に居る。
 ――――それは、とても、嬉しく感じた。
 だから。
 「――――――――うん!」
 食べてくれた人に、精一杯の感謝の笑みを。
 「料理はこれから頑張って覚えよ? 私も手伝うから、ね。帰ってきた先輩に二人であっと言わせるモノを作ろうよ」
 リリィはその情景を想像した。
 何だかそれはとても楽しそうで――――思わず笑みが零れるほど。
 ――よし、絶対お兄ちゃんをあっと言わせて見せるんだから。
 そう決意して、今からでも桜に料理を習おうと――――
 ――――したのだが、肝心の桜が笑顔のまま固まっていた。
 「あ――――!! ていうか私笑ってる場合じゃなかった! ちょっとタイガ居るー!? 桜が大変なの――――!」
 ぱたぱたと駆けていくリリィ。どうしたどうした、と顔を覗かせる大河。青い笑顔のまま微動だにしない桜。

 ――――衛宮家は、今日も今日とて平和であった。

 短編『リリィと料理』
 ――――<了>

ぶっちゃっけ、イリヤでも良かった気がする。まぁ今までこのキャラをメインに書いたことが無かったので、まぁ実験的というか。
ちなみに、このオリキャラは『剣戟音響』にて登場してたりします。良かったら是非。

◇今日のBGM◇
"流浪雲" from cune
自閉による考察と至る結果。
今晩は、睦月です。
燻る答えは、確かに胸の内に。


どんなにうつでも
でんぱきいて
なのかくらいねまくったらなおるよ!
                     
                 ハ_ハ  
               ('(゚∀゚∩ なおったよ!
                ヽ  〈 
                 ヽヽ_)

てなわけで欝全開から立ち直り。
やっと落ち着いた。――まだちょっとオーラ出してるけれども。
引きこもってたところを某Jさんに引っ掻き回されて、それどころじゃなかったってこともあったけど。
人と話すって重要だね。ご飯奢ってくれたし。持つべきものは、やはり友人か。

( ゚∀゚) ガチャガチャ
 ミ⊃
 ⊂彡
 
( >∀<) きゅ~っと♪
 ミ⊃⊂彡

  
 (∩゚∀゚)∩ ふぃぎゅ

  _ 
 ( ゚∀゚)  あっと♪
 ミ⊃ ミ⊃

↑と魔理砂~を延々リピートしてたら、何もかもがどうでもよくなりました。電波ってすごい。

■レビュー
mixiに載せたやつだけど。
ACIDMANの新アルバム『green chord』

――ああ、これが。これこそがACIDMANだ。

この音楽は間違いなくACIDMANであり、而して彼らこそ作り出せ得ない音である。
音は完全なる幻想ではなく、しかし限りなく現実に寄り添った空想。
我々では決して辿り付けぬ、それでいてすぐ側に存在するかのような錯覚。
錯覚は幻覚であり、現実の触覚へと昇華する。
それこそがACIDMANであり、彼らの創り出す音楽である。
今回のアルバムで一つの答えが見えた。彼らが創り出す音の方向性が。
前回までが「静」と「動」の饗宴だとするならば。
今回は「静」と「動」の共融である。
つまり、融合。
融合とは言い換えれば、共通部分以外の〝削除〟に他ならない。
だからか、前回までに見られたストイックさは為りを潜め、音自体は落ち着いている。
しかし見た。
静かな音の中に組み込まれた荒々しさを。
白波のような激しいうねりを。
それはまるで小さな宇宙のような――――

今回のアルバム。「静」の中に「動」を融合させた音――故に緑。極小で極大の音の連なり、『green chord』。
壮大で荘厳な世界が、此処に在る。

彼らの更なる進化に期待。
次はどんな『音』かなぁ。
とりあえず今回は
『Ride the wave』『懸命の銘』『calm』『REAL DISTANCE』
がやべぇ。

何か偉そう。いっつもこんなん。
■30分イラスト
でっけぇヘッドフォン

小説のほうは書いたけど、何か妙に長くなったので、TEXTのコーナーの方にUPしときます。
――何か欝オーラがむんむん。書いているとき胃が痛くなった。

◇今日のBGM◇
"toward" from ACIDMAN 「green chord」
落下の感触。
今晩は、睦月です。
落ちるならどこまでも。


欝まっさかり。

その内リニューアル。

■一時間SS&30分イラスト
画力:中学生、オレ
「は、つくづく救えない」
「それは貴方もでしょ。馬鹿マスター」

いつもの悪態をついて、いつもの作業を終わらせた。
月下には横たわる屍は、魑魅魍魎の類だ。これらの解体作業が行われたのはついさっき。突如、彼らは湧くようにして二人に襲い掛かってきた。
「ふぅ……どうしてこんなに悪霊やらグールやらが揃ったようにやってくるのかしら。全く、汚らわしいことこの上無いわ」
白い姿のレンは唾棄するように吐き捨てる。
そんな姿を見て、黒い影のような男、七夜はく、と笑い声を漏らした。
「……何よ」
「いや何。既に気付いていることを気付かないふりしている姿が可笑しくてな。お前も理解しているだろう? 世界の因果ってやつは複雑なようで単純だ。『異端は異端を呼ぶ』――それが理の一つ。悪夢そのものが具現化した俺達は特異点そのものだ。お前、類が友を呼ぶって諺を知らないか?」
「ふん。〝ナイトメア〟は貴方のほうでしょ。遠野志貴が思い描いた『最悪の可能性の一つ』の延長に居る存在――これが悪夢と言わず、何て言うのかしら」
影絵のような夜の街を二人は歩く。親しくは見えない。しかしどこか楽しげに会話しながら。
「は、それを言うならお前も一緒だろ? 〝白レン〟」
「っ――――!! 貴方ね、そんな安易な呼び名は止めて頂戴って言ったでしょ! 全く……白い服を着ているレンだから白レンって、貴方正気? もうちょっとマシなネーミングセンス考え付くぐらいの頭は創ったはずだけど?」
がー、と顔を真っ赤にして、捲くし立てる白レン。
その姿が可笑しいのか、七夜はニヤつきながら会話を続ける。
「何が不満があるっていうんだ。良い名前じゃないか。――分かりやすくて、お前らしい」
「わ、私の何処が分かりやすいですって――――!!」
叫んだ。擬音にすると、フーッ!といった感じだろうか。猫が威嚇するようにレンは七夜に牙を向ける。
「何もお前が分かりやすいとは言って無いぞ? 〝名前が分かりやすい〟、と漏らしただけだ。それは自分で自覚しているってことか?」
「なっ――――騙したわね」
「ま、〝お前らしい〟ってことは、つまり結局そういう意味なのだがな」
「っつ――――――――殺すわ、間違いなく殺す。契約破棄なんて生温い。貴方にはとびっきりの悪夢を見せてやる」
その時、七夜の双眸が細まったのをレンは見た。
次に来るのは、ぞわりと毛が逆立つ感覚だ。この独特の纏わりつくような臭気は――
「――グール」
それも一体や二体ではない。ざっと見るだけでも三十体はいるだろう。幽鬼のように迫るグールはまるで雪崩れだ。それは悪夢のよう。常人ならば、間違いなくそう思うだろう。
だが。
「どうやらお前に殺されている場合ではなくなったぞ。やれやれ、飛び切りの悪夢というのも興味があったんだがな。……なぁ、『夢魔』」
「下品ね。けど、こいつらはそれ以上に醜悪で、不快だわ」
この二人は、それを笑い飛ばすかのような夢の顕現だった。
(それにしても数が多少、多いか……あまり派手にやると代行者が黙っていな――)
「志貴」
七夜の思考を遮るように、レンが声を放つ。
何だ、と思う前に、七夜はレンの――その、不敵な笑みを見た。
「……指示を頂戴、〝マスター〟。私は貴方の使い魔なんだから、賃金分くらいは働くわよ?」
ニヤリ、としか形容出来ない笑みを顔に貼り付け、言った。
七夜は一瞬、呆としたが。
「――ああ。背中は任せたぞ、〝白レン〟――――!!」
言って、月光に輝く刃を手に、死の集団へと向かっていった。
白レンと呼ばれた白い少女は、それでも笑みを崩さず。
「全く、口が減らないご主人様だこと――――」
コンクリートを力強く踏みしめ、主人の元へと駆けていった。

影絵の街で、二つの影が躍る。
互いに単独では存在し得ない。故に二人で一つ。一蓮托生。
ならば今日も二人は笑いながら舞うだろう。
飛びっきりの、悪夢を振りまきながら。

カデンツァは、未だ終わらない――――

短編『White and Shadow』
――<了>

◇今日のBGM◇
"ヒラリ" from 和田光司 「デジモンセイバーズ」OP
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